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信州のツチハンミョウの仲間

Family Meloidae ツチハンミョウ科
中型からやや大型で,体形はさまざまである。体はやややわらかい。幼虫期は過変態を行い,ハチやバッタ類に寄生する。
1令幼虫はシミ型(脚につめが3本あるので,三爪幼虫と呼ばれる),2令幼虫はコガネムシ型,
3令幼虫はさなぎに似た擬蛹型,4令幼虫はコガネムシ型と体形が変化し,さらにさなぎ期をへて成虫となる。
成虫は地表,草の葉の上,花の上などから見いだされ,主に植物食である。日本には約20種が分布。
マメハンミョウ Epicauta gorhami Marseul,1873
頭部が赤色。前胸背・上翅が黒色で、灰色縦条紋があるが、信州(寒地)のものは消失する。前胸背は著しく前方へ細まる。♂の触角の第3〜7節は幅広い。
成虫は8〜9月頃出現し、ダイズや野菜類の葉を食し、土中に産卵する。
幼虫は地面を歩行し、イナゴの卵塊にたどりつく。幼虫はイナゴの卵を食して生育する。1齢幼虫はシミ型(三爪幼虫)であるが、その後コガネムシ型幼虫となる。イナゴが減少したことでマメハンミョウも少なくなった。
マメハンミョウ類はカンタリジンを含む液を出すことが古くから知られ、医薬品としてマメハンミョウ類が用いられてきた。
体長:12〜18mm。
一般に寒冷地のものは上翅側縁の灰白条を細く残すのみで、他はすべて消失する。関東地方〜中部地方にかけては上翅中央の灰白条を示すものが多くなる。西南日本に行くと上翅中央の灰白条が強く現れ基部で内方に折れ曲がり前胸背板の後縁に達するものが多くなる。
ミヤマツチハンミョウ Meloe brevicollis Panzer
黒藍色〜多少紫紺色を帯びるものもある。マルクビツチハンミョウに似るが、触角が細く、前胸背の幅が狭く、頭胸部の点刻は細かく粗、上翅の皺刻は著しく微細で弱く、体色は藍青色が強いなどの点で区別される。体長:10〜12mm。成虫は高山の残雪付近に7〜8月に出現する。本州(中北部)
ヒメツチハンミョウ Meloe coarctatus Motschulsky,1857
黒藍色。♂の触角は第6・7節が著しく拡大し、第7節は幅広い倒心臓型。前胸背は、著しく幅がせまく、後方でくびれる。上翅のしわ状の点刻は細かい。
幼虫はハナバチ類の巣に寄生し、卵・花粉・蜜を食して生育し、10月頃成虫となるが、土中で越冬する。体長:9〜23mm。成虫出現期:11月と3〜5月。
 
メノコツチハンミョウ Meloe menoko Kono,1936
暗青藍色ないし暗紫藍色。体色は明るく、♂の触角第3節は細長で、第2節の2倍よりわずかに長く、♀の触角第3節は第4節のほぼ1.5倍である。
体長:12〜20mm。北海道、本州(中北部)。
マルクビツチハンミョウ Meloe corvinus Marseul
黒藍色。♂の触角は一部が異常に肥大せず、♀同様少数珠状。前胸背は著しく幅広く、後縁の中央は湾入する。上翅のしわ状の点刻は粗い。成虫は3月頃から出現する。土中へ産卵。
幼虫は花に集まり、ヒゲナガバチ・ハナバチ類によって巣に運ばれ、巣に寄生する。ハチの卵・花粉・蜜を食して生育し、秋に成虫となるが、土中で越冬する。体長:9〜27mm。
ムラサキオオツチハンミョウ Meloe violaceus Linne
体長:9〜28mm。やや光沢のある暗青藍色、ときに紫色を帯びる。
オオツチハンミョウに似るが、青藍色が強く、多少とも光沢があり、触角は細く、第3節は第4節よりわずかに長く、第5〜7節の太まりも弱く、第6,7節は太まるが常に幅より長い
オオツチハンミョウ Meloe proscalabaeus Linne
黒藍色。♂の触角は第6・7節が顕著に太まる。前胸背は幅が狭くない。前胸背の側縁は円く、後方でくびれない。上翅には粗いしわ状の点刻がある。
成虫は早春の3月頃から地上へ出現、草原を歩行する。♀は4月頃土中へ4000〜6000の卵をかためて産みつける。孵化した幼虫はシミ型(肢に爪が3本あり、三爪幼虫という)で草に登り、花にたどりつき、飛来したハナバチ類によってその巣に運ばれる。ハナバチの卵を食した後、脱皮してコガネムシ型幼虫となり、巣の中の花粉と蜜を食して生育。やがて土へもぐって蛹に似た擬蛹型幼虫となり、そのまま夏を過ごして9月に脱皮、1か月後に成虫となるが、そのまま土中で越冬する。体長:12〜30mm。
ツマグロキゲンセイ Zonitis cothurnata cothurnata Marseul,1873
キイロゲンセイに似ているが、触角第2・3節は等長、第4節は第2節より明らかに長いが、その2倍に達しない。触角は第1節の基部を除いて前部黒色。腿節の基部、上翅端なども黒色である。成虫は7〜8月に出現し、燈火に飛来する。体長:9〜15mm。本州、四国、九州。
キイロゲンセイ Zonitis japonica Pic,1910
黄色。前胸背は著しく前方へ細まる。触角は糸状で細長い。成虫は7〜8月に出現し、燈火に飛来するほか、イヌザンショウの花に好んで集まる。幼虫は古くなった竹の中などにつくられたオオハキリバチの巣に寄生する。体長:9〜20mm。
ヒラズゲンセイ Cissites cephalotes (OLIVIER)
 体長18〜30mm。鮮紅色。♂は大あごが強大、♀は大あごと頭部が小さい。
クマバチに寄生するが、生活史にはまだまだ謎が多い。
体液にはカンタリジンが含まれ、かぶれや水ぶくれの原因になる衛生害虫。
分布:本州(近畿南部),四国(高知,徳島),九州,南西諸島,台湾,フィリピン,ベトナム,タイ,ビルマ,マレーシア,インドネシア.

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